杜仲は、古来、中国にて珍重されてきましたが、これは中国大陸の中西南部(四川、陝西、湖北、河南、貴州、雲南省)からベトナムにかけて育つ杜仲の木(学名・Eucommia ulmoides)の皮を乾燥させたものです。 なにしろ木が枯れない程度に樹皮をむくので、1本の木からあまり多くとれず、杜仲を煎じて飲める人は貴人に限られており、当時は一般の庶民には手の届かないものとして珍重されていたのです。

中国では古くから、病気になってから治す医者は「疾医」といって二流の医者であり、病気になる前に食物で予防する医者を「食医」と呼び、名医の賞賛が与えられていました。 また「医食(薬食)同源」も考え方は同じで「命は食にあり」として、口から入れる食物による身体づくりを根本に置いていたのです。 杜仲はそういった点で非常に高い評価を受け、古代中国人が健康維持に欠かせないものとして尊重してきたことがうかがえます。

杜仲は、杜仲科トチュウ属トチュウという”一科一属一種”の、世界でも例を見ない大変珍しい樹木です。6千万年前は多くの地域でも繁殖していましたが、現在の杜仲は恐竜も絶滅した氷河期をこえて生き残ったもので、ユーラシア大陸以外では化石としてしか存在しません。 落葉樹で20~30年で直立した巨木になり、イチョウの木と同様、雌雄異株で、雌株には白い花が咲きます。 葉はニレやケヤキに似た楕円形で、若葉をお茶として用いることができます。 樹皮のほうは10年以上たった木から採取するのが普通でして、表面は灰褐色のざらざらした肌で、内側は暗い紫褐色で、スベスベしています。  若葉なら2年ものから採ってもよいとされています。

樹皮や枝を折ると銀白色のゴム状の糸が尾を引き、また葉をちぎっても見られます。 杜仲の別名である「木綿」とか「糸連皮」などの呼び名は、このゴム状の糸に由来いたものと言われています。 これを「グッタペルカ」といいますが、このためか杜仲の木には害虫がつきません。
防虫剤をかける必要がないわけで、おそらくこのあたりにも、昔から杜仲が珍重されてきた理由があるのかもしれません。
 
有機栽培の可能な杜仲は健康と言う面から見れば、1歩も2歩もリードしていると言えるでしょう。  

このグッタペルカという物質は、酸やアルカリ、そして塩分にも強く、工業用や民間用の素材として活用されています。