杜仲という木の名前はどうしてつけられたのでしょうか? 古来、いろいろな説がありますが、ここではその中の一つをご紹介しましょう。
昔、ある人が木の皮を砕き煎じたものを毎日のように飲んでいました。 すると活力がみなぎってきて、やがて仙道を悟るようになりました。 仙人となってからは霞を食べ、その植物を口にしては美女をはべらせ、空を自由に飛んで、生き長らえたと言うことです。 その仙人は名前を杜仲と言いました。 その名をとって、毎日口にしていた植物はやがて杜仲といわれるようになったということです。 真意のほどは別にしても、杜仲に対する賞賛がしのばれてくるような逸話です。
■平安貴族のお供として
杜仲がわが国に渡来したのは、奈良時代以後、平安時代にかけてと考えられていますが、この頃はもっぱら貴族たちにもてはやされていたようです。 ロマンスに明け暮れていた王朝貴族には頼もしい味方だったのでしょう。 杜仲は採取方法が難しく高価なものだったので、手に入れられたのは貴人たちだけで、杜仲の他に畑で栽培できる「人参」なども広く用いられましたが、やはり貴重で高価なものだったため、江戸時代などでもよほどの金持ちでないと買うことができず、一般の庶民にはなかなか手の届かないものだったとされています。
■桑の代替として
昭和50年代、長野県伊那の農家の人たちが、絹産業が化学繊維の台頭で集落し養蚕がだめになり、抜根されて荒れ放題だった桑畑の代替として何か良い植物はないかと模索しておりました。
そのとき韓国から持ち帰っていた杜仲の種子を植える試みをしたのです。
杜仲は中国が原産地ですが、もちろん日本でも栽培することができます。 ところがここでちょっとした問題が出てきました。 じつは杜仲が成育するまでにはかなりの歳月がかかります。 そして一度樹皮を収穫すると、再生までに6~7年は元に戻らず、さらに時間がかかることになり、間尺に合いません。
そこで思いついたのが、葉をお茶にすることでした。 杜仲の葉は苗を植えて2年程で採取でき、その後も毎年取ることができます。
そしてその素晴らしい杜仲葉茶を世に広めたいと言うことになり、当社のほうで製品として改良し販売しだしたのが、昭和60年代初期でありました。 これが杜仲葉茶の始まりです。
杜仲茶は日本人のアイデアで発案されたものだったのです。 いまでは中国はもとより、東南アジア、アメリカなどで広く販売され、皆さんの健康のお供をさせて頂いております。